Q1. |
過払い金が発生する理由は? |
A1. |
過払い金が発生する理由は、消費者金融等の貸金業者がお金を貸し付ける際に適用される法律に「利息制限法」と「出資法」という2つの法律があり、2つの法律が認める上限利率に大きな開きがあるからです。消費者金融会社等の貸金業者の大半は出資法の上限利率である29.2%を限度として貸付を行ってきました。しかし、利息制限法では上限利率を次のように定めています。
10万円未満 |
→年20% |
10万円以上〜100万円未満 |
→年18% |
100万円以上 |
→年15% |
幾多の判例の積み重ね等により、利息制限法による上限利率を超える貸付については、厳格な要件が要求され、過去に利息制限法による上限利率で支払いをした場合も、利息制限法の上限利率で引き直し計算すると、過払い金が発生することがあるのです。
貸金業者の側から見ると、出資法を越えた利息で貸付をおこなうと刑事罰の対象になるのに対して、利息制限法を超えた利率で貸付をおこなっても罰せられることはありません。
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Q2. |
消費者金融会社等から過払い金が取り戻せるのですか? |
A2. |
取り戻せます。取引期間や借入金額等により過払い金の額は大きく変わりますが、中には100万円以上になるものも数多くあります。
場合によっては、裁判手続を要することもありますが、過払い金の返還を求める権利は法律上「不当利得(ふとうりとく)返還請求権」といい、確立された権利です。 |
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Q3. |
どのくらいの期間取引をしていると過払い金が発生するのですか? |
A3. |
消費者金融会社等の貸金業者と取引継続中で残債務がある場合、過払い金が発生しているかどうかは貸金業者から過去の取引履歴を取り寄せて、利息制限法による引直計算をしてみる必要があります。過払い金が発生しているかどうかは一概に何年以上取引があれば必ず過払い金が発生するとはいえません。
当事務所における過去の事例に沿って目安を示しますと、取引期間が5年以上であれば過払い金が発生している可能性があり、8年以上であれば過払い金が発生している可能性が高いといえます。ただし、直前に多額の借り増しをしている場合や少額の取引を継続してきた場合等は、取引期間が10年以上であっても過払い金が発生しない場合もあります。
なお、利息制限法の上限利率を超える約定に従って完済した場合は、過払い金の額の大小はありますが、必ず過払い金が発生します。 |
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Q4. |
過払い金請求を債務者自身が行うことはできるのですか? |
A4. |
過払い金返還請求を債務者自身で行うことは可能です。
しかし、弁護士・司法書士に依頼せずに債務者自身で過払い金請求をしようと思っても、消費者金融会社等の貸金業者が取引履歴の開示に応じてくれなかったり、取引履歴を開示してくれたとしても、過払い金を返還してくれないことが多いようです。
その場合、債務者自身で訴訟を提起するほかありませんが、訴訟のステージでは専門的な知識が必要となすますので、かなりの困難を伴うことになります。 |
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Q5. |
完済した借り入れについても過払い金を請求できるのですか? |
A5. |
完済している消費者金融会社等の貸金業者に過払い金請求を行うことももちろん可能です。但し、10年の時効について検討する必要があります。また、貸金業者側が取引履歴の開示に応じない場合もありますので、訴訟になった場合は契約書等の証拠を提出する必要があります。 |
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Q6. |
過払い請求した時のデメリットは何ですか? |
A6. |
消費者金融会社等の貸金業者と取引継続中で残債務がある場合、債務整理を行ったものとして、いわゆるブラックリストに載ることになります。その場合、ブラックリストに掲載される期間(5年〜10年といわれています)は、新規のカード発行や借り入れが難しくなります。
また、完済した債務について過払い請求があった場合は、必ず情報登録をするわけではないようです。金融庁のガイドラインでは信用情報の登録について債務者の支払能力に関する情報に限り認めていますので、完済した債務についての過払い請求について信用情報機関に登録するのは目的を逸脱していると言えます。 |
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Q7. |
取引履歴の開示請求はどのようにすればよいのですか? |
A7. |
貸金業者に取引履歴の開示請求をする場合は電話ではなく、普通(書留)郵便、内容証明郵便、FAX等の文書で請求するのがよいと思います。文書で請求をしておけば、もし、訴訟になった場合、取引履歴の不開示に基づく損害賠償請求時の証拠として使えます。 |
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Q8. |
貸金業者に取引履歴の開示義務はありますか? |
A8. |
貸金業者に取引履歴の開示請求をしても「開示の義務はない」等と主張されることも少なくありません。確かに、法律上、明文で貸金業者に開示義務を定めた規定はありません。しかし、貸金業者には信義則上の開示義務があると考えられています。金融庁の事務ガイドラインでも、貸金業者は「債務者、保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から、帳簿の記載事項のうち、当該弁済に係る債務の内容について開示を求められたときに協力すること」と定められています。裁判上でも取引履歴の開示については激しく争われており、開示義務を認めるものもあれば認めない裁判もあります。 |
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Q9. |
過払い請求にはどの程度期間がかかりますか? |
A9. |
スムーズに行けば、着手から3カ月くらいの間に、過払い金が手元に返ってきます。但し、相手方が取引履歴の開示請求に応じず、訴訟になると、解決までに1年以上かかる場合もあります。消費者金融会社等の貸金業者ごとに対応も異なりますし、個々の事案によっても状況は変わってきます。 |
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Q10. |
過払い金に対して利息は発生するのですか? |
A10. |
過払い金にも利息は発生します。その過払い金の利息については、「5%」とする最高裁の判例も出されています。過払い金の利息の起算日は過払い金が発生した当日です。消費者金融会社等の貸金業者に過払い金を請求する段階で利息も請求しておけば、和解をする際に利息を免除する代わりに過払い金は全額支払ってもらうといった条件を提示しやすくなりますので、過払い金を請求する際は利息も合わせて請求したほうがいいと思います。 |